クールな生徒会長は私だけにとびきり甘い。

俺の腕に抱きついたまま、縋るようにそう言った莉子。

無意識だろうが、上目遣いで見つめてくる瞳には、涙が溜まっていた。


「……!」


可愛すぎて、息が詰まる。

この状況が理解できないが、心臓を射抜かれたような感覚に襲われた。

なんだ、これ……。

行かないでって……。どういう意味だ?

莉子、なんで泣いて……。

……って、待てよ。

「ちょっと待って莉子。もしかして……なんか誤解してない?」


行かないでっ……ていうのは、今俺がこいつに誘われたからだよな?

そうだとするなら……。


「あら? 湊この可愛い子だーれ?」


莉子を見ながら、鬱陶しいそいつが聞いてきた。

悪いけど、今はお前に付き合っている暇はない。


「……とにかく、今日は無理。また別の日に付き合ってやるから、今は帰って」

「えー! もう! 仕方ないわね!」


何かを察したのか、そいつは俺の言葉に意外にもあっさり引き下がった。

 「バイバーイ」と手を振りながらそいつが離れていくのを確認し、振り返って莉子の手を優しく握る。



「莉子、ちゃんと話そう」



莉子が俺を避けていた誤解を解くために。

俺にもう1回……。チャンスを頂戴。


【side 湊 end】





【試し読みはここまでになります!】