俺と目を合わせず、黙々と弁当を食べる富里にため息をつく。
ここまであからさまに避けられて、はいそうですかと引き下がれるか。
「なぁ……何か知らない?」
恐る恐る、富里にそう問いかける。
「何かとは?」
「莉子に避けられてる気がするんだけど……」
「さぁ? まったく知りません」
「なんのことでしょうか」と胡散臭さ全開で返事をしてくる富里に、今度はもうため息すら出なかった。
まずい……。本気でまずい。
富里の反応からして、多分莉子は俺に何か怒っている。
多分、避ける理由が俺のほうにあるんだろう。
でも……。何をした?
デートの約束を破ったこと……? いや、でも断ったとき、全然怒った様子じゃなかったしな……。
考えれば考えるほどわからない。
食欲も湧かなくて、俺は食べかけのパンを袋に戻した。
「ねーえ紗奈ちゃん、ほんとに知らない? 湊本気で落ち込んでて部活にも影響出てんの。昨日なんて凡ミスのオンパレード。知ってたら教えてくんない?」
隣に座っていた朝日が、珍しく助け舟を出してくれた。
余計な言葉も入っているが、事実だから否定できない。