放課後を告げるチャイムが鳴り響き、教室内にクラスメイトたちの声が広がる。
「やっと終わった~!」
隣の席の紗奈ちゃんも、伸びをしながらそんな言葉を口にした。
「ねぇ莉子、今日委員の仕事ないって言ってたよね? 暇なら帰りどっか寄ってかない?」
「どっか?」
「んー、甘いものが食べたい!」
「いいね」と言いかけて、朝の出来事を思い出す。
そういえば……。
『それじゃあ終わったら教室まで迎えに行くね』
あれは、冗談だよね……?
……うん、きっとそうだ。
だってやっぱり……瀬名先輩が私を好きだなんて、ありえないもん。
「うん、行こっか」
そう言って紗奈ちゃんに笑顔を向けると、同じ笑顔が返ってくる。