「……そ、そうなんですね……!」


「ほんとにごめん……。でもデートは絶対にしたいから、別の日に改めて遊ぼう。今日の夜連絡する」

「は、はい」


残念だけど……。なんだか急用みたいだし、引き止めるわけには行かないよね……。


「それじゃあ、ほんとごめん……バイバイ」


湊先輩は申しわけなさそうに手を振って、走って行ってしまった。

……はぁ……。

告白は延期……かぁ……。


「あら……。先輩用事?」


1人その場に立ち尽くしていると、教室の中から紗奈ちゃんが顔を出した。


「そうみたい……。はぁ、緊張した……」

「残念ねぇ、せっかく明日ルンルンの瀬名先輩がみられると思ったのに」


ルンルンって……。


「ま、莉子今日フリーになったってことでしょ? じゃあ、カラオケでも行かない?」


え? カラオケ?


「うん! 行きたい!」


紗奈ちゃんの誘いに、目を輝かせた。

テストから解放されて、今はとにかく遊んで帰りたい気分だった。

私の返事に、紗奈ちゃんはにっこりと笑う。


「よし決まり! 行くわよ!!」