このあと……湊先輩と、約束のデートに行く。

このデートで私は、ちゃんと告白すると決めていた。


「頑張ってね! ま、結果なんてわかってるけど!」


他人事のようにそう言ってくる紗奈ちゃん。

まだ、何があるかわかんないよっ……。

もしかしたら、湊先輩の気が変わっちゃって、断られるかもしれないし……。

……でも、自分の気持ちだけはちゃんと伝えるって決めたんだ。


「が、頑張る……!」


そう言って、活を入れるために、頰をペチペチと叩いた。

 HRが終わり、急いで帰る支度をする。

湊先輩、もう待ってるかな……?


「紗奈ちゃん、バイバイ!」

「バイバイ!」


紗奈ちゃんに手を振って、教室を飛び出した。

……っ、あ!


「湊先輩……!」


廊下に出てすぐ、壁に背をつけ待ってくれていた湊先輩を発見。


「お待たせし――」

「ごめん莉子」

「え?」


急いで駆け寄って「お待たせしました」と言おうとした私の声を、湊先輩が遮った。

その表情は、どこか焦っていた。


「今日、用事ができたんだ」


……あ……。そ、そっか。