お姫様抱っこって……絶対他の生徒に見られたに違いないっ……。

でも、すごく焦った様子だったって……湊先輩、そんなに心配してくれたのかな……。


「かっこいい彼氏ねっ」


語尾にハートマークがつきそうな勢いでそう言った先生に、慌てて起き上がって否定する。


「か、彼氏じゃないですっ……」


……今は、まだ……っ。


「あら? まだ付き合ってないの?」


大げさな驚き方をする先生に、逆に私のほうが驚いてしまう。


「ふふっ、恋バナならいつでも聞かせてね! 先生そういうの大好き!」

「も、もう、先生……!」


からかわないでください……!と言おうと思ったとき、ふらりと貧血のときのような目眩がした。


「あらあら。ほら、横になって」


先生に促され、おとなしく横にならせてもらう。

少し楽になって、ふぅ……と息を吐いた。


「まだしんどいでしょう? 体調が戻るまで、ゆっくりしていってね」

「ありがとう、ございます……」


授業時間に休んでいることに少し罪悪感があるけど、今は先生の言葉に甘えさせてもらうことにした。