苦しいくらい抱きしめられて……。でもそれが、とても心地よかった。

本当に心配してくれたんだというのが伝わって、嬉しかった。


「誰に閉じ込められたんだ?」


抱きしめたままそう聞いてくる湊先輩に、ビクリと肩が震える。


「言って。じゃないと莉子のこと、守れない」


苦しそうな声色でそう言われて、私はゆっくりと、覚えていることを話す。


「あの……名前はわからなくて……多分、2年生の……」


きっと、先輩だったとは思う。


「保健室に来て、ケガ人がいるから来てって言われて……。ついてきたら、こうなっちゃって……」


よくよく考えれば、私が軽率だったんだ。

こんなところにケガ人なんているはずがないのに。閉じ込められて、みんなに心配かけて……。


「ごめん、なさいっ……」


授業中なのに……みんなで私のことを、探してくれてたんだ。

申しわけなくて、止まりかけていた涙がまた溢れだす。

湊先輩は、そんな私を変わらず優しく抱きしめてくれた。


「莉子が謝る必要ないだろ。ていうか、もしかしたらこうなったのは俺のせいかもしれない……。ごめん」