「せんぱいっ……。湊先ぱ、い……」


まっすぐに駆け寄ってきてくれる湊先輩に、縋り付くように抱きついた。

一瞬ビクッと先輩の身体が反応した気がしたけど、お構い無しに強く抱きつく。

怖かった……っ。


「大丈夫か? ……ごめん。遅くなって……」


首を左右に振って、返事をした。

湊先輩が来てくれて……よかった。

見つけてくれて……ありがとうっ……。


「もう大丈夫。怖くないから」


耳元でそう言って、優しく背中を撫でてくれる先輩。

震えはまだ治らなかったけど、その行為に酷く安心させられる。
助けてもらうのは、2回目だ。

保健室のときと、今……。湊先輩はいつだって、私を安心させてくれる。

いつだって、助けに来てくれる。


「ちょっと待って、みんなに連絡入れる」


私を抱きしめながら、片方の手でスマホを操作し始めた湊先輩。


「みんな……?」

「富里から、『莉子がいなくなった』って連絡きたんだ。朝日と3人で探してた」


連絡を入れ終わったのか、スマホをポケットに戻し、両手で強く抱きしめてきた湊先輩。


「よかった……見つかって……」