宇佐美くんの口封じ




宇佐美くんが突然振り返ってそんなことを言った。

学校ならまだしも、こんな街中でこんなイケメンと並んで歩くのは恐れ多いというか、彼女に間違われて後ろから刺されたりしたら嫌だというか…。


まあ、彼女に間違われるなんてことはきっとないとは思うけど。





「はやく」

「っわ、わかったってば…」

「ん」



ようやく隣を歩いた私を見て、彼は満足げに微笑む。




「せんぱい、何食べたいですか?」

「んー…なんだろ、…お腹が満たされればなんでも、」

「ふっ、」

「…笑わないでよ!ほんとにお腹すいてるんだから…」



油断したら今にも大きな音を立ててしまうそうなお腹。

朝ご飯は毎日きちんと食べる派の私。
自分のせいとは言え寝坊して慌てて家を出たからご飯を食べる暇なんてなかったから、本当に空腹で死にそうなのだ。




「じゃあ、ハンバーガーとかどうですか?がっつりした感じの」

「良い!」





宇佐美くんの言葉に食い気味に賛成する。

ちょうど気になっているハンバーガーのお店があったので宇佐美くんに伝えると、「じゃあ決まりですね」と言って歩き出した。