宇佐美くんの口封じ






宇佐美くんの圧に怯えながらなんとか準備を終わらせた私は、13時には家を出ることができた。


普通の速度で歩いても13時半前には駅に着けるけれど、電話での彼の様子を思い出して怯える私はとにかく走った。

今なら持久走で自己記録更新できるかもしれない。




宇佐美くんに会うのが怖すぎる。

まず会ったら謝って、宇佐美くんの荷物をもってあげて、それから…それから…ひいぃ、怖い。





息を切らしながら駅に着いたのは、スマホの時計がちょうど13時20分になった時だった。

呼吸を整えながらあたりを見渡す。
栗色の髪で高身長でかっこいい人は一体どこに────…






「う、宇佐美くんっ!」



駅の案内掲示板の近くでスマホをいじっていた彼の姿を見つけ、名前を呼ぶ。







「ごっ…ごめんなさい!怒ってるよね!ごめん本当に、あの、」

「いいですよ」

「ひぇえ宇佐美くんがそんなに簡単に許すはずがないんだぁあ!」

「どんだけビビってるんですか…」