宇佐美くんの口封じ





土曜日になった。




「…明る、」




目が覚め、あぁよく寝たなーなんて思いながらぐーっと伸びをして、明るすぎる部屋を見渡す。




今日は宇佐美くんと映画を見に行く日。

一緒にお昼を食べた時に勝手に決められてから、結局断ることも出来ず今日を迎えてしまった。



待ち合わせは、駅に13時になっている。



そして今、ふと手繰り寄せた目覚まし時計は12時半を指していた。




「……えー…と、」




身支度にはどんなに急いでも10分はかかる。

私の家から約束の駅までは歩いて30分かかるから、ダッシュしたとしても15分はかかるだろう。




よく寝たなんて思って優雅に目覚めたのはどこのどいつでしょう。

私ですか。そうですか。




サーっと血の気が引いていくのがわかった。



あのワガママで自己流を貫く宇佐美くんとの約束に1秒でも送れたら…。







「…こ、殺される……!」