「せんぱい」
「なに?」
メロンパンを食べ終わったらしい宇佐美くんが首だけこっちに向けて口を開く。
「せんぱいって彼氏いたことないんですか?」
「…なんですかいきなり」
「いや?せんぱい男慣れしてなそうな感じだったから」
「どうなんですか?」と言う宇佐美くんから目を逸らす。
男慣れなんてするはずが…いや、出来るはずがない。
生まれてこの方、私は恋愛に悩まされたことがなかった。
好きになった人もいなければ、好きになられたこともない。幼なじみもいなければ、特別仲の良い男友達もいなかった。
ノーカウントにしたものの、男の人と触れ合うのだって宇佐美くんとしたキスが生まれて初めてだった。
こんな風に男の子に絡まれるのも初めて。
つまるところ、私は生粋のピュアっ子なのだ。



