宇佐美くんの口封じ








屋上に続く階段を上り、たどり着いた先にある扉をギィ…と開ける。
途端に暖かい空気に包まれ、視界には青が広がった。




「ん、いい天気」

「ほんとだね…」

「あっちにベンチあるからそこ行きましょ」




そういう宇佐美くんに頷いて、私たちはベンチに向かうと1人分の距離を空けて座った。


断ることも出来ず流されるままについてきてしまったけれど、屋上で宇佐美くんと2人きりでお弁当を食べるって…

どういう状況なんだ、本当に。




そんなことを考えるも、ここまで着いてきてしまったからには仕方ない。




バックからお弁当を出し、膝の上で広げる。
宇佐美くんはコンビニの袋を持っていて、中からカフェオレとメロンパンを取り出した。



高校2年生の男の子にしては少ないお昼ご飯だなぁ。
でも宇佐美くん、細いし運動部なわけじゃいからこれが普通なのかな。