「…、せんぱいといたらいつか心臓バクハツしそ」
「……、」
「せんぱいはもう手遅れかも。顔真っ赤だし、心臓バクバク言ってる」
「うっ…、い、言わないでよ…!」
いじわるだ…!
抱きしめられた腕の中でそんなことを思っても、全部"好き"に繋がってしまうからダメだ。
なんだか悔しくて、彼の背中に回した腕に力を込めると、宇佐美くんが小さく笑ったのが分かった。
バカにされてる。
でも嫌じゃない。
悔しい。
好きだ。
「なに?せんぱい」
「…別に」
「ふ、素直じゃないですね」
全部好きだ。
優しいところも、時々いじわるなところも、私にだけ甘いところも、全部。
宇佐美くんの────…彼氏のことが、好きすぎて辛い。
end.



