確かに私は言っていた。

玲に抱き締められながら、(宇佐美くんのことが)好きだ、と。



そしたら玲が「俺のせいだけど早く離れた方がいい」とか訳の分からないことを言ってきて、身体を離したら宇佐美くんの姿が見えたんだ。



あの時は宇佐美くんに突き放されたショックの方が大きくて気にしていなかったけれど、
『玲とよろしくやってればいーよ』という彼の言葉が、私と玲の関係を誤解していたから出たものだったとしたら。




「うっ、宇佐美くん」

「や、全然。過去のことだし全然、気にしてないです。全然」



またギュッ、と握った手に力が込められる。


地味どころかかなり痛い。
これは完全に悪意が込められている。
私の手は握力計ではないよと言いたい。



それから、宇佐美くんが"全然"という言葉を強調する時は怒っている時だって、私は知っている。