ー 文化祭 その後 ー






「1個聞きたいことあるんですけどいいですか?」

「ん?」

「前、俺と約束してた時。玲と音楽室で抱き合ってたのって何だったんですか」




もう終わりに近づいた花火を眺めていた時、宇佐美くんは思い出したように言った。

繋がれた手に力が込まれ、それが地味に痛い。
悪意がある握り方だ、と思った。




「…え?、え?」

「抱きしめられながら好きって言ってましたよね?」




私、玲にそんなこと言ったっけ…?


確かあの日は、宇佐美くんのことを玲に言われて、それでようやく好きって気づいた日だ。

玲が泣いてしまった私を慰めるために抱き締めてくれたことは覚えているけれど、私は玲に『好き』だなんて一言も言っていない。



玲に、「宇佐美のことどう思ってますか?」って聞かれて、それで​私は─────…








「…言った……」