宇佐美くんが少しだけ抱きしめていた力をゆるめ、視線が交わるところまで身体を離す。 「せんぱい」 「…、っ」 ヒュー…と、花火が上がる音がした。 宇佐美くんの顔が近い。 鼻と鼻がくっつきそうだ。 こんなに至近距離で私の平凡オブ平凡のこの顔を見られていると思うと消えてしまいたくなる。 日が落ちて辺りが暗いだけ、まだ救われた。 「……好きだよ、」 ドォーン…と大きく花火が開いた時。 私と宇佐美くんの影が、静かに重なった。