宇佐美くんの口封じ






「…知り合い?」

「いや全然。そしてすげー面倒臭そうだしなんかこっち来てますね、うわー」

「え、どっ、どうするの?」

「どうするってそりゃ、」






「────逃げますよ」





ニッと口角をあげたと同時に、彼は私の腕を引っ張って走り出した。

廊下の突き当たりを曲がると、写真部や美術部の展示会スペースに使われている1年生の教室がある。

宇佐美くんはどうやらそこに紛れ込むつもりらしい。


「写真撮って!」
「連絡先おしえて!」
「逃げないでー!」


などの声がどんどん遠のいていく。


私を連れて走る宇佐美くんはどこか楽しそうだったけれど、こんな状況で何がそんなにおかしいのか私には理解できなかった。