宇佐美くんの口封じ





「や、えっと…お、おつかれさま…」


ああ、ほら。

私の予想した通りの言葉しか出てこなかったじゃないか。

この後の言葉はひとつも考えてない。
もうさっさとこの場を立ち去ってしまいたい。




「あ。それ言いに来てくれたんですか?」

「えっ、えっと、…うん」

「そっか。ありがとうございます」




そんな私に宇佐美くんはそう言って柔らかく笑う。

…そんな顔されたら、軽率に好きが溢れてしまうからやめて欲しいんだけどな。



「せんぱい終盤の方ですよね、出番」

「…うん。最後から3番目」

「頑張ってください。俺もど真ん中陣取っておきます」

「ひぇ…それはなんと言いますか…緊張するといいますか…」

「え。俺だってさっきめちゃくちゃ緊張したからせんぱいも同じ気持ち味わって」

「鬼……!」





なんてそんな会話をしていた時だった。




「いた!宇佐美くんっ!」




そんな声と共に、体育館の入口の方から5.6人の女の子たちがこちらに向かって来るのが見えた。