宇佐美くんの口封じ






計3曲の演奏を終え、お礼を言ってステージ裏に帰っていくメンバー。

やっぱり宇佐美くんはかっこいいのだと思い知らされたライブだった。




「雨宮せんぱい、依里のところ行きます?」



ぞろぞろと体育館を出ていく宇佐美くんのファンの女の子たちの姿を横目に見ながら、麻央ちゃんが言う。



「えっ、いいよ…」

「なんでですかぁ!リコさんとあたし、適当にぶらついてますから!依里に『かっこよかったよ!』くらい言ってやってくださいよ!喜びますよ?」

「でも…」




ちらりとリコに目を向けると、彼女はしょうがないわねと言わんばかりにため息をついて、「早く行きな」と言う。


確かに、ライブ終わりの宇佐美くんに会いたいなーとは少し思ってしまったけれど、私は宇佐美くんの彼女でもファンでもないし、会ったところで「おつかれ…」しか言えない気がするし…。



けれど、



「早くしないと依里、どっかの女に絡まれちゃうかも」



なんて麻央ちゃんが物騒なことを言うものだから、「ごめん、…行ってくるね」と小さく返して私は2人に背を向けた。