「…、宇佐美くん」



手当が終わったのを確認して名前を呼ぶ。
彼は少しの沈黙の後、目を合わせてくれた。




「…隣、座ってもいいですか?」

「え?…あ、うん…」

「…どーも」




宇佐美くんが、半人分の距離を開けて隣に座る。
沈んだベッドの感触が少しだけ伝わった。




「……あの、私、」





何を言わなくちゃいけないんだっけ。
口を開いたはいいものの、言葉が出てこなかった。



もう宇佐美くんには嫌われているかもしれない。

もう話せないと思っていたしもう終わったことだと思っていたから、またこうして2人きりになれたのが夢みたいだった。





『助けてくれてありがとう』

『どうして助けに来てくれたの?』

『宇佐美くん、私のこと嫌いですか?』

『私は、宇佐美くんのことが好きになってしまいました』





言わなきゃ、言わなきゃ。

今ここで言わなくちゃ、もう宇佐美くんとは今度こそ終わりかもしれない。