女は個室のベットに横になっていた。

目を閉じたままの女は、点滴に繋がれていて、まだ顔は青白い
ものの、俺が見つけたときよりは少し顔に赤みがさしているよう
に見えた。


取りあえず、女の状態を確認した俺はそのまま病室を後にした。


次の日の昼過ぎ、俺は女のいる病室に足を運んでいた。

中川の話では、まだ目が覚めないとのことだった。

ベットの横に立ったまま、女の顔を覗き込むと微かに瞼が動いた
感じがした。

“ ・・・気のせいか?”

もう一度女の顔を覗き込むと、静かに瞼が動き女が目を開けた。


「おい、大丈夫か?気分はどうだ?」

女は声に気づき、俺を見ながら

「・・・あ~、あ・・・・」

酷く掠れた声を出す。

何か話したいようだが、女も思ったように声がでなく戸惑って
いるのが見てとれた。

俺は、直ぐにナースコールを押して女の目が覚めた事を伝え、
看護師が来るのを待った。

直ぐに中川と看護師がやってきて、軽く診察する。

「蒼、これから彼女を検査するから待っててもらってもいいか?」

「あぁ、時間ならあるから大丈夫だが・・・」

「じゃあ、よろしく。」

そう言うと、女を車椅子に乗せて病室を足早に去って行った。