その日はどこまでも澄んだ薄い水色の空が広がっていた。

珍しく正装姿の蒼と碧がいた。

光沢のあるネイビーのタキシードにシルバーグレーのアスコット
タイとベストを身に着け。

いつも襟足にかかる髪を無造作にしているだけの髪も、今日は
ワックスでオールバックにしていた。

元々、端正な顔立ちの蒼だったが、今は大人のセクシーさが増し
ていた。

隣に立つ碧は、蒼と同じネイビーのミモレ丈のフレアースカート。

総レースのパーティードレスはハイネックで手首まで綺麗にレース
が施されている。

こちらも、いつもは下ろしている腰までのストレートの髪を、
サイドから編み込んでアップにまとめていた。


二人共、仲睦まじい様子で蒼は碧の腰にさり気なく手を回している。

そんな二人の足元から「パパー、ママー」と呼ぶ可愛い声が聞こえた。

一歳半になる二人の愛息、亜藍(アラン)だ。

蒼と同じネイビーの子供用の半ズボンのタキシードに蝶ネクタイ。

蒼そっくりの顔立ちと蒼とは逆に左目尻にほくろがあった。

ここは有名ホテルの一室。

今日は、このホテルで蒼の画が有名なコンクールで大賞を取った
授賞式パーティーが行われる。