部屋の中は、『青』の世界ではあったが、私の見たあの時の
部屋とは違っていた。

雑然と置かれていた画が、綺麗に壁に並べられ部屋の中央には
見たことも無い、濃いブルーの布が掛けられた画があるようだ。

蒼さんが私を連れて、中央の画のところまで歩く。

「これが俺から碧へのプレゼントだ。」

そう言って濃いブルーの布を捲った。


「・・・これは・・・。」


私の瞳はその画に釘付けとなった。

自然と零れ落ちる涙の雫・・・。


「碧だ。
 いつの間にか、俺は碧の事が愛しいと思うようになっていた。
 碧、これからもずっと俺の側にいてほしい。」

そう言って、私にベルベットの小箱を差し出した。

中には、キラキラ光る真新しいシルバーのリング。

「私で・・私でいいんですか?」

「碧じゃないとダメなんだ。
 俺の隣でいつまでも笑っていてくれ。」

「・・・はい。・・はい、隣にいます。」

蒼さんは、私の返事を聞いて嬉しそうに目を細めながら、左の
薬指にリングを嵌めた。

不思議とリングは私の指にピッタリと治まった。


その瞬間、私と蒼さんは少しの距離も離れたくないとばかりに
抱き合い、初めてのキスをした。

蒼さんは、私の右手を掴むと慌ただしく二階に駆け上がり、自分
の部屋に私を連れて入った。

初めて入る蒼さんの部屋は、濃いブルーを基調とした部屋で、
その中には大きなベットだけがあった。


もう離れたくないとばかりに、二人でベットに雪崩れ込むと、
そのままお互いの存在を確かめ合うようにきつく抱きしめ合う。

そして、日付が変わっても二人の熱い息遣いは続いていた。