碧とのホッとするような休憩時間、そう言えば・・・と思い出す。

「なあ、前に刑事の江波さんが言っていた事を覚えているか?」

「江波さん・・・戸籍のことですか?」

そう確か、このままだと身分を証明するものもないし、今後のために戸籍の
取得を勧めていた。

引っ越しと生活に追われて、ついつい後回しにしていたが、碧も大分慣れて
きたようだし良いだろうと考えた。

「ああ、江波さんに明日にでも連絡してみよう。
 俺も手伝うから、そうしてみないか?」

「はい、蒼さんにはご迷惑お掛けしますが、よろしくお願いします。」

碧はすまなそうにしながらも、どこかホッとしたように見えた。




翌日、碧と俺はリビングである人物を待っていた。

インターホンが鳴ると、碧が足早に玄関に向かう。

俺はそんな碧の後姿を何となく見ていた。


玄関からは碧ともう一人、今日の客の話し声が微かに聞こえていた。

「チッ・・」

何故だか、碧が自分以外の人間と楽しそうに話すのを、面白くないと感じ
舌打ちする自分がいた。

碧は、ただの同居人なのに・・・

あれか、妹を取られるような感じなのか・・・?

今まで感じたことのない気持ちに、少し戸惑いながらもそう結論付けひとり
納得した所で、碧と客の江波がリビングに入って来た。