「おばさん、俺のも冷やしといて。
後で呑みたい。」
「頂き物の水なすがあるのよ。切っとくわ。」
ホント、至れり尽くせりだな。
「あ、そうそう。お父さんとお母さん、
明日、歯科医師会のゴルフコンペなのよ。」
「あー、毎年恒例のだね。
朝早いの?」
母がゴルフを初めて10年くらいになるか。
このコンペは毎年2人とも楽しみにしてる。
「早いわよ。5時出発だから。」
聞けば、お父さんは親友の室田先生とゴルフ練習場に行ってるという。
「おじさん、前日から飛ばして大丈夫なの?」
「言って聞く人じゃないからね。
私はさっさと寝るわ。
お父さんも、さっき帰るって連絡あったから。」
そろそろ帰ってくる頃よ…と言って、台所の片付けを始める。
「あ、じゃあ水なす、私が切るからいいよ。
片付けも、やっとくから。
お母さん、お風呂入ってきたら?」
「そう?じゃあお願いね。」
そう言ってダイニングから出て行った。
「お前、明日休みだろ?俺も休みなんだ。
地酒、付き合えよ。」
「えぇ!今日?
めちゃくちゃ疲れてるんだけど…」
「俺、今日珍しくオンコールじゃないんだよ。」
だから付き合え!と言ってくる。
なんて横暴な!
…しかし、あの地酒は私もちょっと呑んでみたかったんだよね。
「ちょっとだけだからね。
片付け手伝ってよね。」
「おう!じゃ、うちで呑もうぜ。」
「……。」
あー、そっちか…。
ホント、疲れてるんだけど…。



