王都の図書室。

「テリウム王子」とティモテ姫。
金の髪に薄い青い瞳。
黄金のドレスローブ。ティモテ姫だ。

「ティモテか」
「はい。テリウム王子は図書室で何を読んでいらっしゃったのですか」
「哲学の歴史だよ」「まあ」
「人びとが何を考えているのかは興味をもたないかな」
「そうかもしれませんね。しかしわたくしは知識がどのように人びとの徳知となるかに関心があります」
「知識か。
君は啓蒙君主たらんとしている」
「啓蒙とは必ずしも知識ではなく、読書とは御心に一杯のお茶を差し上げるようなものですよ」

図書室に秋の木漏れ日が差し込んでいた。黄金の天盖のように。

テリウム王子は言葉を選ぶと。
「それには賛同したい」といった。

ティモテ姫がふと図書室のうたた寝から目覚めるとテリウム王子を思い出す。木漏れ日が差し込んでいる。秋だ。

(夢はもう一つの現実なの?)

と魔法使いミモザ·ルーベックが図書室にやって来た。

ティモテ姫は立ち上げると用意されたケーキを切り分ける。