物音を立てないよう、震える足を何とか動かす。


元来た道をフラフラと歩いていれば、薄暗い廊下に1人の人影が。




「ア、アヤトくん…?」


どうしてこんな所に?と続けて言うはずだった言葉がアヤトくんの発言に呑み込まれた。



「その様子じゃ、知っちゃったみたいだね」


「っ…?!」



いつもと変わらない表情で言ってのけるアヤトくんは本当にアヤトくんなのだろうか。



「リンの力は"輪廻転生"って言って、自分の命を引き換えに死者をも復活させる事ができる」


珍しくアヤトくんがちゃんとリンの事を名前で呼んでいる。
けど、そんなことどうだっていい。

"力"の説明はされなくとも、何となく分かっていた。