「能力者の暴走が起きてる!!」



俺は咄嗟に後ろにいる光龍の面々に叫んだ。



「暴走?!」
「こんな力持ってる奴がまだいんのかよ!」

俺の叫び声に、テツヤとヒロトが取り乱れた。


「うぇ…」

ツバサはというと、この揺れに吐き気をもよおしている。



くそ…!
なんでこのタイミングなんだ…!

ナギが力を使っているということは、謁見の間にいるということだ。

何で謁見の間に…?
もしかして、そこにリンもいるのか…?



「ある意味これってチャンスですよね」

そう言ったのはコウヘイだ。


「どういうことだ?」

ショウが問う。


「俺、頭で考えられても説明すんの難しいんだよな〜」


「公平が言いたいのは、この騒動に紛れ込めば、リンちゃん救いやすくなるってことと、わざわざ俺たちがこの研究所を破壊しなくても崩れてくれるってことだろ?」

「そう!それです!」

代わりに説明をしたハルキにコウヘイはすぐさま肯定した。
ハルキとコウヘイは頭が切れると言っていたが、どうやら本当にそうらしい。


「だったら早く行こうぜ…っ!ここが崩れる前に!そして俺様が吐く前に!!」

「ツバサ、素直に早く助けに行こうって言えないの?」

「う、うるせーな、ハルキ!!」



この状況で、誰一人として踵を返すことはしない
勇敢さに俺はこいつらを連れてきて良かったと心底思った。




「…進むぞ」

なおも続く揺れと騒音の中、アカリの声が鮮明に届いた。