この優しさも嘘だと思うけど、自然と悲しさはない。ただ、早くどこかへ行ってもらいたい。
もう私に構わないでほしいと思いながら、視線を下げた。
「西田くん、頭いいから私が教えるまでもないよ……」
「そんなことないよ。あ、じゃあさ、今週の日曜勉強会しない?」
「……え?」
「カラオケとかで、みんなで中間に向けてしようよ」
私は、昨日の西田くんのセリフを思い出した。
『明日、桃井経由で日奈子ちゃん合コンに誘ってもらうつもりだから』
……うわっ……すごい、西田くん。こんなさらっと誘いの話にできるなんて、すごい詐欺師になれるかもしれないっ……。
冗談抜きに、そう思った。
「えっと……」
「ほら、友達とかも誘って」
どうしよう……このままじゃ、丸め込まれちゃう……。

