「うちの藍と仲良くしてくれて、どうもありがとう」

「いえ、あなたにお礼を言ってもらわなくてもいいですよ。所詮幼なじみですもんね」



な……なんだろう、この不穏な空気……。

気まずすぎる雰囲気に、私は１人苦笑いを浮かべた。



「……まあいいや。藍、帰るよ」

「え？」



宗ちゃんが、私の手をつかんできた。

どきりとして、触れられた箇所が一気に熱を持つ。



「じゃあ、連れて帰らせてもらうね？」



颯くんに、再びにっこりと微笑んだ宗ちゃん。



「……っ」



颯くんは何やら、悔しそうに下唇を噛みしめた……ように見えた。

連れて帰るって……宗ちゃん、私に何か用事……？　もしかして、お母さんに何か頼まれたのかな？

そうでもないと、宗ちゃんが私を迎えに来るなんて、ありえないよねっ……。



「颯くん、ごめんね……」