年上幼なじみの過保護な愛が止まらない。

宗ちゃんが持っているものを見つめてそう聞けば、「ああ、来週会う人の著書を読んでるの。会話のネタになるでしょ?」と答えてくれた。

え……! これを書いてる人と会うんだ……!

表紙を見ると、難しそうなビジネス本みたい。

じつは、宗ちゃんは国内随一のグループ企業である椎名グループの跡取り。いわゆるお坊ちゃんだ。

大学生になった今は、仕事にも関わり始めたらしく、いつも忙しそうだ。

続きを読もうとしているのか、本を開いた宗ちゃんの肩に頭を預ける。



「静かにするから、こうしててもいい……?」



邪魔はしたくないけど、まだ離れたくない……。



「……はいはい」

「ふふっ、やったぁ」



許可がおりて、口元が緩んだ。

こうしてそばにいられるだけで、幸せ。



「宗ちゃん大好きっ……」



口から零れた、その言葉。