1時間くらいかかるはずなのに、一瞬だったなぁ……。

宗ちゃんといる時間は、どうしてこんなにも過ぎるのが早いんだろう。

名残惜しくて、スカートの裾をぎゅっと握った。



「宗ちゃんは、お母さんに挨拶していかないの?」

「昨日も会ったから、家にはもう寄らないよ」



そっか……。



「送ってくれてありがとう」



お礼を言うと、宗ちゃんはいつもの優しい表情で笑った。



「どういたしまして。またね」



あっさりとそう言う宗ちゃんとは違って、私の口からは「またね」の言葉が出てこない。
これ以上わがまま言ったら、迷惑がられちゃいそうなのに……次いつ会えるかもわからない状態でのバイバイは、つらい。



「……だから、そんな寂しそうな顔しないでってば」



宗ちゃんの言葉に、ハッとした。

私、そ、そんなに顔に出てたかなっ……。