宗ちゃんの車は、大学の合格祝いにご両親からもらったもの。

私は車に詳しくないからよくわからないけど、2人乗りのスポーツカーで、素人目から見てもかっこいい。

運転する宗ちゃんを、助手席から横目でじっと見つめる。



「俺の顔に何かついてる?」



見入っていると、いつから私の視線に気づいていたのか、前を向いたままの宗ちゃんがそう言った。

バレていないと思っていたから、ちょっぴり恥ずかしい。



「ううん。運転する姿もかっこいいなぁと思って……」

「……っ」



思ったままのことを言えば、宗ちゃんがハンドルを握る手に力を込めたように見えた。



「……藍。あんまり男に、かっこいいとか言ったらダメだからね」



……え?



「どうして?」



子供に言い聞かせる親みたいな忠告の仕方をする宗ちゃんに、首を傾げた。