「わぁっ、ふかふか」



寝心地、すごくいいっ……!



「こら藍。寝転ばない」



ごろごろとベッドの上で移動している私を見て、宗ちゃんが「降りなさい」と言ってくる。

私は香る匂いを辿るように、布団に顔を埋めた。



「ふふっ、宗ちゃんの匂い……」



大好きな、シトラスの香り。



「……っ」



宗ちゃんの、ごくりと息を呑む音が聞こえた。



「……俺の匂いって何? 変な匂いする?」



え?

宗ちゃんの質問に、首を横に振る。

変な匂いなわけないのに。



「んーん……大好きな匂い」



笑顔でそう言えば、宗ちゃんはなぜだか大きく目を見開いた。

そのあと、すぐに私から目を背けるように、こちらに背中を向ける。



「……藍、もう満足したでしょ? 帰るよ」

「え……もう?」