ようやく涙が止まった頃、遅刻ギリギリの時間になっていた。
目が腫れてブサイクになった顔を見られたくなくて、お母さんお父さんと顔を合わせないように急いで家を出る。
アプリにある宗ちゃんの連絡先は、ブロックした。
完全に宗ちゃんを忘れられるまで、連絡はしない。
それに……もしかしたら宗ちゃんから連絡が来るんじゃって……期待したくないから。
もともと、宗ちゃんから連絡なんて滅多に来なかったんだもん。
いつか宗ちゃんへの気持ちが恋じゃなくなったとき……このブロックを、解除できたらいいな……。
そんな日を、今は願うしかない。
間に合った……。
HRが始まる5分前に教室に着いて、自分の席に向かう。
すでに席に着いていたルリちゃんと理香ちゃんが、私のほうを見て目を見開いた。
「……藍!?」
「どうしたの、目腫れてるわよ……!」
う……やっぱり気づくよね……。
ファンデーションで目元が赤いのは隠したけど……目の腫れはどうしようもなかった。