リビングに入ると、キッチンにいたお母さんが不思議そうに私を見てきた。



「今日遅かったね。連絡したのに、スマホ見てなかった?」



……あ、そういえば……。



「ごめんなさい、充電切れちゃって……」



帰りの電車で気づいたんだった……。



「そう。何もなかったならいいの。すぐにごはんにしましょっか?」

「うん!」



こくりと、笑顔で頷く。

今日はもう、ごはんを食べてお風呂に入って、宿題を終わらせたら寝よう……。

脳裏に焼きついて離れない、さっきの光景。

思い出したくなくて、払拭するように首を振った。



「ん……」