「ただいま! 宗ちゃんママはお出かけ?」
泣いてるなんてバレたら、優しい宗ちゃんママは心配してくれるだろうから、できるだけ明るい声でそう聞いた。
余計な心配はかけたくない。
それに、私が勝手に泣いてるだけ。
勝手に宗ちゃんのことを好きになって、追いかけて、傷ついて……。
そういえば、全部私の独りよがりだなぁ……。
宗ちゃんが家に女の子を連れ込んだって、なんにも悪くないのに。
私は何か言う立場でもなければ、怒る権利もない。
「そうよ。今からお父さんとごはんに行くの。下で待ってるみたいだから行ってくるね」