私、新城 藍には、ずっと大好きな人がいる。
「はぁ……宗ちゃんに会いたい……」
休日のリビングで、零したため息。
もう1ヶ月近く会えていないその人に、会いたくてたまらなかった。
幼なじみである、3つ年上の椎名宗壱こと宗ちゃんに。
うう……前は当たり前のように毎日会えてたのに……どうして1人暮らしなんて始めちゃったの、宗ちゃん……。
今年大学生になった宗ちゃんは、社会勉強にと言って、同じマンションにある、もともと住んでいたウチのお隣の部屋から出ていってしまった。
この前のGWに帰ってきたけど、またすぐに戻っていっちゃったし、宗ちゃん不足で倒れちゃうよぉ……。
はぁ……会いたい……。
寂しさを紛らわすように2度目のため息をつくと、キッチンで洗い物をしているお母さんが口を開いた。