自分の席に座って、教科書を整理する。

少し経って、最初に現れたのは西原くんだった。


「おはよー日奈太。あれ? 白鷺まだ?」

「うん」

「珍しいな、あいつが俺より遅いとか」


確かに……そういえば昨日も一番に来ていたし、一昨日も早かった。

もうすぐHR始まるのに……どうしたんだろう?

そう思ったとき、ちょうど教室に1人の影が入ってくる。


「おはよう、2人とも」

「あ、噂をすれば」


西原くんの言葉に、悠人くんが首を傾げた。


「噂?」

「今日、白鷺遅いなーって」

「ああ……ちょっとね。姉さんから電話がきてて」


お姉さん……?


「あー、そういえば白鷺ってお姉さんいたっけ?」

「うん」


へぇ……そうなんだ……!

悠人くんはしっかりしていて、お兄ちゃんのイメージだったから……お姉さんがいるのは意外だった。

悠人くんのお姉さんなら、きっとすごい美人さんだろうな……!


「結婚してるんだけど、旦那さんとケンカしたとき怒り狂って俺に連絡してくるんだ」

困ったように微笑んだ悠人くんに、私も苦笑い。


「そ、そうなんだ……」