ルームメイトの狼くん、ホントは溺愛症候群。

「……何やってんだ、こんな朝から」

「え……あ……」

「部屋戻んねーのかよ」


部屋……?

この人……お兄ちゃんの知り合い……?


「え、えっと……戻り、ます……」


恐る恐る、そう返事をする。

先輩、かな……?

大きいし、きっと年上だろう。

なんだか威圧的な雰囲気だし、男の人というだけで怖いけれど……。

この人に、聞くしかないっ……。


「あ……あのっ……」

「……あ?」

「ひっ……! え、っと……その、なんだかド忘れしてしまって……502号室って、どこに、ありますか……?」


それっぽい言い訳を考えようとしたけれど、そんな違和感満載な聞き方しか思い浮かばなかった。

目の前の男の人は、再び目を見開いて、私のほうをまじまじと見つめてきた。


「お前、やっぱり……」

「……え?」

「…………来い」


来い……?

それだけ言って、スタスタと歩き出した男の人。

これは、ついてこいって、こと……?

よくわからないまま、その人のあとをついていく。

周りにはまだ誰もいなくて、目の前を歩く男の人と私の足音だけが寮内に響いていた。