そう思いながら、朝の支度をすます。

朝ごはん……一応、嶺くんの分も作っておこう。

昨日と同様、簡単な朝食が完成したときだった。

ガチャリとドアが開く音が響いて、慌てて視線を扉のほうに向ける。

足音が聞こえたあと、リビングの扉が開いた。

現れたのは嶺くんで、姿を見ただけで頰が緩んでしまう。


「おはよ。もう起きてたのか」


嶺くんは私を見て一瞬目を見開いたけど、すぐにいつもの表情に戻った。


「おはようっ」

「ちゃんと眠れたか?」

「うん」

「そうか」


私のほうに近づいてきた嶺くんが、微笑みを浮かべて頭を撫でてくる。

あ……また……。

嶺くんに、頭撫でられた……。

さっきまで1人で寂しかったのに、嶺くんが戻ってきた途端に感じるこの安心感はなんだろう。


「嶺くん、朝ごはんできてるんだけど……食べる?」

「食う」


即答した嶺くんに、思わず笑みがこぼれた。


「ふふっ、それじゃあ食べよう……!」


朝食をすませて、8時すぎに部屋を出る。

昨日と同じように、廊下で別れて、先に教室に向かった。

……あれ?

今日はまだ……誰も来てないみたい。