ふっと微笑んで、私の頭を優しく撫でた嶺くん。

……っ。

そのまま、お風呂場のほうに行ってしまった。

撫でられた場所に手を置いて、嶺くんがいなくなったほうを見つめる。


「……嶺くん、頭撫でるの癖なのかな……」


よくポンッてされてる気がする……。

嫌じゃないけど……というよりむしろ、撫でられるの好き、かもしれない……。

手つきがとっても優しくて、なんだか……大切にされている気分になる……。

って、なに考えてるんだろう私……!

は、早くごはん作らなきゃ……!

そう思って、私はキッチンへ急いだ。

……うん、完成。

夜ごはんができて、ふぅ……と一息つく。

今日のメニューは、嶺くんが好きだと言っていた和食の献立。

豚肉と野菜のせいろ蒸しと、揚げ出し豆腐とお味噌汁。それと肉じゃが。

あとはご飯をよそうだけだ、と思ったとき、ちょうど嶺くんがリビングに戻ってきた。

まだ半乾きの髪をタオルでゴシゴシ擦りながら、キッチンにやってくる嶺くん。


「……すっげーいい匂い……」


くんくんと匂いを嗅ぎながら、目を輝かせている嶺くんにくすりと笑う。