「おかえり。今日はなんか怖いこととかなかったか?」

「うんっ……!」


心配してくれている嶺くんに、「大丈夫だったよ」と笑顔を見せる。

嶺くんの協力もあって、男子校生活は順調にいっている気がする。

お兄ちゃんの留年は、ちゃんと防ぐからねっ……!


「すぐにごはん作るね」

「疲れたろ? ゆっくりでいいから、ちょっと休んどけ」


そう言って、「何飲む?」とソファから立ち上がった嶺くん。

飲み物を入れてくれるつもりなのか、断るのも悪いのでお言葉に甘えることにした。


「えっと……イチゴミルク!」


「ん」という短い返事が聞こえ、私はゆっくりとソファに座った。

はぁ……なんていうか、このお家は落ち着くなぁ……。

安心するというか、肩の力がドッと抜ける。

昨日来たばかりなのに、どうしてこんなにくつろげるんだろうなぁ……。


「はい。イチゴミルク」

「ありがとうっ……!」


嶺くんからグラスを受け取って、一口含んだ。

はぁ……美味しいっ、幸せ……。

イチゴミルクは一番大好きな飲み物で、朝スーパーマーケットで見つけてすぐにカートに入れた。