ルームメイトの狼くん、ホントは溺愛症候群。

ど、どうしよう……!

誰か、来た……!

寮だから人がいるのは当然なのに、このときの私は、動揺してそんなことを考える余裕もなかった。

逃げなきゃっ……!

そう思ったけど、私がいる場所はちょうど行き止まりで、隠れる場所なんてない。

どうすることもできずに立ち尽くしていると、足音の主が、階段から上がってきた。

そして、その人がこっちを見て、私と視線がばちりとぶつかる。

――わっ……。

一 瞬、見惚れてしまった。

そのくらい、現れたその人が、かっこいい人だったから。

艶のある綺麗な黒髪、白い肌。

切れ長の目に、遠目からでもわかる透き通るような灰色の瞳。

180は余裕であるんじゃないかと思う高身長で、モデルさんのようなスタイル。

息をするのも忘れるほど、ただその人に魅せられた。

そして、なぜかその人も、私のほうを見て驚いたように目を見開いていた。


「……お前……」

「……っ」


男の人の低い声に、ハッと我に返る。

す、すごく見られてる……!

もしかして、バ、バレたんじゃ……っ。

一瞬そう思ったけど、どうやら違ったらしい。