ほ、ほんとだ……。
嶺くんの視線は、なぜかこっちに向けられていて、まるで監視しているような視線に見えた。
ばちりと私と目が合って、慌てて視線を逸らした嶺くん。
もしかして……。
私のこと、心配してくれてるのかな?
「……ふふっ」
思わず笑みがこぼれてしまって、慌てて口元を押さえる。
「日奈太、どうして笑ってるの?」
「え? う、ううん、何も……」
い、いけないいけない……悠人くんに怪しまれちゃったみたい……!
嶺くんとのことは、バレないようにしなきゃっ……。
私は今、白川日奈太なんだから……!
その日も無事放課後を迎え、補習組の3人で第2教室に向かう。
昨日と同じ顔ぶれが並ぶ中、1人だけ昨日までいなかった人が出席していた。時間になって教室に入ってきた先生が、違和感に気づいたのか一番後ろの席の人物を見ながら口を開く。
「……おい。なんでお前がいるんだ、瀬名」
……そう、なぜかこの教室には今、嶺くんがいた。
池田くんと西原くん、あからさまに居心地悪そうにしてるっ……。
2人と嶺くんって、仲悪いのかな……?