謝る必要ないのに……きっと本当にあの先生が、バラさないっていう確証を得ての行動だろうし……。

何より、その気持ちが嬉しかった。


「うん……ありがとう嶺くん」


お礼を言って、ふふっと微笑む。

知れば知るほど、優しい人だなぁ……。

でも……結局、先生とはどんな関係なんだろう……。

もしかしたら、その、こ、恋人……だったり……。

それだったら、部屋に来てたのも頷けるし、親しい愛称で呼んでいることも納得が行く。

先生と生徒だから、禁断の関係で、みんなに内緒にしてる、とか……。

――ズキッ。

……ん?

ズキ……?

胸に、痛みが走った。

さっきもチクチクしたし……私、どうしちゃったんだろう……。

やっぱり、何かの病気かもしれない……!!


「日奈子? おい、ぼーっとしてどうした?」

「……あっ、な、なんでもないよ……!」


嶺くんに目の前で手をヒラヒラとされて、我に返った。

だ、大丈夫大丈夫……この前の健康診断も、異常なかったもん……!


「じゃあ、ここで解散」

「……え?」


解散?


「先に教室行ってこい」