ルームメイトの狼くん、ホントは溺愛症候群。

嶺くんがそう言って手を合わせたのが、少しだけ意外だった。

サンドイッチに手を伸ばした嶺くんを、じっと見る。

お、お口に合うといいんだけど……。

パクリ。一口頰張った嶺くんの反応が気になって、次の言葉を待った。


「……うまい」


ほっ……と、安堵の息を吐く。

サンドイッチだから、変なものを入れない限りは不味くなることはないけど……やっぱり心配だったから。


「すごいな。こんな飯作れるとか」


尊敬の眼差しを向けられ、照れくさい気持ちになる。


「サンドイッチなんて具をパンに挟んで切っただけだから、そ、素材本来の味ってだけだよ」


誰が作っても、そんなに味は変わらないだろうから、全然大したことない……。


「なんだよ素材本来の味って」


私のセリフに、なぜかツボに入ってしまったのか、嶺くんが笑い出した。

そ、そんな変なこと言ったかな……？


「晩飯が楽しみ」


笑いが収まったのか、はーっと息を吐いてそう言った嶺くん。

その期待のこもった瞳を見て、晩ごはんも美味しいって言ってもらえるように頑張ろうと思った。