でも……それ以外にも、大きな問題があった。

まず、高校が全寮制ということだ。

家から片道3時間かかるお兄ちゃんの高校へ、自宅から通うことは無理だろう。

そうなると、1週間寮で過ごすことになるのは避けられない。


「お兄ちゃん、2人部屋なんでしょう……? 同室の人をどう誤魔化せば……」

「それも、平気だ……同室のヤツは俺と口きかねーし、関わってこねーから……」

「ほ、ほんとに……?」

「ああ……喋る必要もねーし、向こうもこっちの存在はないように扱ってるから、安心、しろ……」


存在がないように扱われてるって……お兄ちゃん、嫌われてるのかなっ……?


ちょっと心配になってきたけど、それよりも、避けようのない大きな問題が1つある。

「それでも……ダメ、か……?」

「……だ、だって……お兄ちゃんも知ってるでしょう?」


私がここまで渋る理由。

もちろん、普通に考えて無茶だってこともあるけど、その一番の理由は……。


「私が、男の人苦手だって……」


小さい頃、男の子にからかわれたり、いじられたりすることが多かった。