……どうして、助けてくれたんだろう……?


「……お前も、あんまはしゃぐなよ」


さっきのキツイ口調とは違う、優しい言い方だった。

瀬名さんはそれだけ言って、自分の席に戻ってしまう。

残された私たち4人の間には、少し気まずい空気が流れていた。


「な、なんかごめん……」


池田くんが申し訳なさそうにそう言ってくる。


「い、いや、平気」


というより、私のほうこそ騙してごめんなさい……!

口には出せないから、心の中で謝った。

さっきまであった恐怖心は、時間の経過とともに薄れていく。

きっと池田くんは悪い人じゃないもん。

ただ、男の人に近づかれたら反射的に怯えてしまうだけで……1週間男子校にいるんだから、私も距離感には気をつけなきゃ……。


「つーか日奈太って、瀬名と仲良かったっけ?」

「う、うん」